真っ白な花が咲いた後、やがて甘酸っぱい宝石のような赤い実をつけるラズベリー
ジャムやケーキのトッピングでよく見かけますね。

ラズベリーは病気にも強く、初心者でも手軽に安心して栽培できます。

実のなる植物を育てると、収穫が楽しみです。

ここではラズベリーの基本情報から栽培方法、剪定の仕方、病気・害虫に至るまで、魅力あるラズベリーの情報を、詳しくご紹介しましょう。

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ラズベリーの基本情報

バラ科キイチゴ属の植物で、学名をRubus idaeus (レッドラズベリー、ヨーロッパラズベリー) 、Rubus occidentalis (ブラックラズベリー) と言います。

日本では木苺(キイチゴ)と呼ばれますが、フランス語のフランボワーズとも呼ばれています。

樹高1~1.5mの小低木の果樹で、可憐な白い花を咲かせた後、赤・黄・紫の実をつけます。

実は甘酸っぱく、ラム酒のような香りも好まれ、パイやケーキ、タルトなどのトッピングとして利用されています。

自家結実性(自身の花粉で受粉して実をつけることで、1本でも実がつく)があり、年に一度(6月下旬~7月中旬)実がなる「一季なり性」と、二度(6月下旬~と10月上旬~)実がなる「二季なり性」があります。

一季なり性ではファールゴールド、二季なり性ではサマーフェスティバルスキーナトップインディアンサマーなどが代表的な品種です。

刺のない品種もあります。刺があってもブラックベリーほど鋭くはありません。

地下茎で増え、非常に強い繁殖力をもちます。
ほとんど無農薬でつくれます。

寒さには非常に強く、冷涼地での栽培が適しており、冬には落葉しますが生垣にも向いているでしょう。

ラズベリーとブラックベリーの相性は悪く、近くに植えると実がならないことがあります。

植えるなら10m以上離してください。
理由は両方とも地下茎の勢いが非常に強く、喧嘩をするからです。

ラズベリー

ラズベリーの栽培スケジュール

一般的な栽培スケジュールをまとめました。品種や地域によって多少前後します。

ラズベリー栽培カレンダー

ラズベリーの好む環境

風通しと日当たりの良い場所が適しています。

夏に西日が当たらない場所を選んでください。

高温には弱いので、鉢植えなら真夏だけ日陰に移す方がよいでしょう。

ラズベリーの苗木の選び方

ラズベリーの苗木は秋~早春に園芸店や通信販売で購入できます。

病虫害におかされていない株で、芽と芽の間隔が狭く太い枝が多いもの、根がポリポットの中にしっかり伸びているものを選んでください。

ラズベリー

ラズベリーの土作り

最近ではベリー用の土が市販されていますが、自分で配合する場合は、赤玉土6腐葉土3川砂1を混ぜた水はけのよい土に肥料を少し加えてください。

ラズベリーの植え付け

植え付けの時期は10月から3月です。
落葉後から春の芽吹き前がよいでしょう。

株間は1~2mとってください。

鉢植えの場合はポリポットから取り出して、根をほぐし、上記の土に植えます。

水を鉢の穴から出てくるほどたっぷりあげて完成です。

庭植えの場合は30㎝四方の穴を掘り、掘り上げた土5に対して腐葉土3完熟たい肥(素材の有機物が充分分解・発酵したたい肥のこと)2の割合を混ぜ、三分のニを穴に埋め戻し、苗を植えます。

枝が伸びていたら5㎝ぐらい切り戻して支柱をたててやりましょう。たっぷり水をあげて終了です。

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ラズベリーの栽培中の管理

水やり

鉢の土の表面が乾いたら、たっぷりあげます。庭植えの場合は必要ありません。

真夏に日照りが続くようなら、早朝に水やりをしてください。

追肥

鉢植え、庭植え共に2月、6月、9月に有機肥料か速効性化成肥料を施します。

株元ではなく、枝の広がりより外側に円を描くように施すとよいでしょう。

剪定

剪定とは古い枝を切り取り、込み合った枝を間引くことです。

ラズベリーは、ほかの果樹とは異なる習性を持っているので注意しましょう。

一季なり性の品種と二季なり性品種とでは剪定回数が違います。

植えたばかりの年は花を全て落してしまいやすいですが、次の年を楽しみに育ててくださいね。

ラズベリーの剪定には冬季剪定(12月~2月)と夏期剪定(7月頃)がありますが、冬季剪定は前年枝(2年枝)を根元から70〜80cmのところでカットします。

夏季剪定は、7月頃の収穫が終わったら早めに根元から切除します。

剪定をすると切った部分から横に実をつける枝が沢山伸びます。

逆に全然剪定しないとラズベリーはどうなるのでしょうか。

新しい枝が出てこず、上にだけ伸びて上にだけ実がつき、放置すると3mにもなるようです。

ラズベリー

一季なり性

冬・夏の年2回剪定します。1年目に伸びたサッカー(地下茎から出る枝で、株元からは離れた位置に出てくる)やシュート(株元から出る新しい枝)に翌年実をつけるので、1年目は切らないように注意しましょう。

2年目に実をつけたあとは枯れてしまいますので、収穫が終わったら枯れる前に剪定するのがポイントです。

二季なり性

二季なり性の品種のラズベリーは、秋に果実がついた枝には翌年も実が着くので切り取らず、残すようにするのがポイントです。冬季のみ剪定します。

最終的には大きい芽をもち、しっかりしている太い枝を一株につき5~6本残すようにするとよいでしょう。

言い換えると、春に枝が出て、夏に成長し、秋に実をつけ、冬に剪定し、春を過ごし、夏に再び実をつけ、収穫が終わったらら根元から切ります。
(実が2回ついた枝は枯れてしまうので取ってしまいます。切り取ってもよい枝は枯れ込んで灰色になるので、すぐわかります。)

ラズベリーの病気と害虫

特に問題になる病害虫はありませんが、新梢や花穂を食害するモモチョッキリ、茎葉に付着して吸汁するカイガラムシには注意してください。

梅雨時など湿度が高く風通しが悪いと、灰色かび病にかかります。鉢植えを軒下に移動させて対処してください。

茎や葉に付着して吸汁するカイガラムシ、葉裏に付着して吸汁するハダニ、またカメムシもつきます。

対策としてラズベリー全体をネットで覆うのも良いアイデアです。

ラズベリーの植え替え

鉢植えの場合、二年に一回は一回り大きい鉢に植え替えてください。

休眠中の冬から遅くとも3月までに行ってください。

ラズベリーの特性と注意点

ラズベリーは繁殖力が非常に旺盛です。

庭植えにすると地下茎が広がり、やがて他の植物の生育を妨げてしまいます。
事前によく考えてから植えてくださいね。

ラズベリー

おわりに

ギリシャ神話にラズベリーが出てきます。

ラズベリーは元々クレタ島原産の白い実だったそうですが、ある時クレタ王の娘の指にトゲが刺さってしまい、ラズベリーの実が彼女の血で永遠に真っ赤に染まったのだそうです。

学名のRubusは「赤」、idaeusは「クレタ島のイディ山」に由来しているそうです。あの可愛い宝石のような実には、そのような伝説が似合っていますね。

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